221005

白山をいただく。 | Day 3

 

季節は秋になろうとしている。今年の夏をふりかえったとき、真っ先に出てくるのは人生初の白山登山だ。ワクワクして挑んだが、悪天候のおかげで、期待していたものはほとんど見れずにおわった。山荘で1泊までして挑戦したこともあって悔しさが残っていた。このまま終わってはいけない。というか終われない。やりきれないので山荘へ電話してすぐ予約した。前回メンバーの2人を誘ったが予定が合わず、今回はソロでいくことに。わずか2回目ということで不安もあったが、「見たい」という思いが遥かに大きかった。

 

10月1日、雲ひとつない快晴。朝8時に家を出る。ふもとの市ノ瀬までは車で1時間半。そこから登山口までバスで行き、10時ちょうどに登山を開始した。2ヶ月前の記憶がつぎつぎとよみがえる。懐かしさを楽しみながら登っていった。前回ははじめてということもあり、キツさや時間を予想できず痛い目にあったが、今回は全体のタイムテーブルをざっくりと組み、進んでいくことにしたのでキツさをあまり感じずにサクサク進んでいけた。開始から1時間半が経ったころから、雲行きがあやしくなってきた。天気予報は終日快晴だが、やはり山の天気はあなどれない。こうなるかもと少しイメージはしていたが、「雨になったらどうしよう」と心配になってきた。山頂近くの室堂までもう少しのところまで来ていた。青空はどこにもない。

 

 

室堂まであと10分というところで、雲の隙間から青空が見えはじめた。室堂に着いたときには空も心も晴れになっていた。目の前の山頂がクッキリと見え、すでに感極まった。前回はガスで何ひとつ見えなかったからだ。チェックインを済ませ、メスティンでパスタをつくり、食後は頂を眺めながらペソアで買ったコーヒーを飲む。もしかしたらまた天気が悪くなるかもと不安だったので、すぐさま山頂へ向かうことに。ドキドキしながら登った40分間だった。そして、山頂。ぼくは雲の上にいた。それも地に足をつけたまま。とにかくうつくしくて1秒だけ涙が出た。それから日の入りまで1時間半ほど、じっくり景色と、山頂にいる事実をたのしんだ。夕暮れの雲海もすごかった。室堂へ戻り、夕食をつくる。炊きたてごはんの上に、缶詰の豚肉をのせた豚丼とつくる予定で楽しみにしていた。が、缶詰を開けてびっくり、米も入った豚丼の缶詰だった。豚丼オンザライスは段取りになかったが、しっかりといただいた。あたりが真っ暗になると、皆が上を見ていた。星空がすごかった。星の無い場所をさがせないほど、ひしめきあっていた。見れてうれしい。明日の用意をして20時に就寝、そして4時半に起床。空に雲はほとんどないが、ドキドキしながら登る。そしてついにご来光。顔がじんわりとあたたまる。うれしい。海と島みたいな雲海と山、全部うつくしい。そしてお池めぐりもできた。前回達成できなかったこと、すべてクリアすることができた。「今日はめちゃめちゃ運よかったね」と登山客が会話しているのをよく聞いたので、余計にうれしかった。

 

 

室堂に戻り食堂で朝食を食べてチェックアウト、そして9時に下山を開始。もちろん天気は晴れで暑いくらいだった。目的をすべて達成したので足取りが軽く、登山口まで2時間半で着いてしまった。今回見れた景色は、記憶の片隅ではなく、真ん中の方にずっと残っていそうなものばかりで、人がつくった物とはちがった感動があった。どっちがいい悪いという話じゃない。車を走らせ白山が見えなくなるまで、何回もふりかえっては「でかいなー」とつぶやいた。結論、大満足だ。またしても登るだろう、もしかしたら次は見知らぬ山かもしれない。雨でずぶ濡れになって何も見れないかもしれない。でもその先の景色を見てみたい。なので、みなさんさそってください。という感じで〆る。

 

 

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